中学校の頃、体育祭で毎年行われるフォークダンスがとても嫌いだった。
ダンス自体は難しいものでは無かったが、それを行うこと自体が、思春期真っ只中の中学生に対する配慮に欠けているように思えた。
とにかく、音楽に合わせて男子と女子が、時に手を取り、腕を組みといった場面が、いかに多いことか…
そして、内側で丸く円になっている女子達を、男子が順に周ることで、一人ずつ相手を変えて行く…
いくら相手が変わろうと、どんな相手であろうとも、それは異性を強く意識し始めた生徒達にとって、非常に恥ずかしく、照れる行為なのである…
ダンスの練習では、そんな「照れ」から手を繋ごうとしない徒達を、先生方は注意する。
なぜ、この恥ずかしい気持ちが分からないのだろうと、当時散々思っていた。
同じ保健体育の授業では、思春期に起こる現象の一つとして、異性への意識の高まりを教えていたはずなのに…
とはいえ、体育祭本番では、大方の生徒達は渋々ながら手を取り、腕を組む。
楽しくも無ければ、大した運動にもならない。
外国のように、放課後や卒業式にダンスパーティーをする習慣などがあるわけもなく、私達にとってフォークダンスとは、体育祭の時にだけ突然登場する、意味も目的も分からぬ競技だった…
そもそも、男女が気軽にふれあう「オープンな感覚」自体、「恥じらいを美」とする日本人に合っていないのではなかろうか…
テレビを観ていて登場する外国の子供達は、本当に10代なのかと疑ってしまうほど大人びている。
それは身体が大きいだけではなく、お化粧をしたり、髪にパーマをあてたり、高いヒールを履いたり…
ダンスパーティーという文化の影響からなのか、何かとマセていて、大人びた文化が多い様に思われる。
最近では日本の子供達も、食文化が欧米と似て来た為か、体格も良く、成長も早くなって来た。
そしてなんと、体育の授業でダンスが必須となった。
その内、ダンスパーティーなども開かれるようになって、普通の中学生でもお化粧などするようになるのだろうか…
日本古来の「奥ゆかしさ」や「恥じらい」を美とする文化や風習が失われて行くようで、少し寂しさを感じる…
確かに国際化への教育も必要なのかもしれない。
しかしながら、誰もが海外を拠点にしたり、国際的な仕事をしているのではない。
国内の8割の人は中小企業に勤務しており、日本を支えている。
むしろ、日本人としての文化、風習、奥ゆかしさ、恥じらい等々を伝える教育に力を入れて貰いたい。
優秀な野球選手やサッカー選手が海外に出て行く…
大手企業の工場が海外に進出して行く…
これらは非常に残念である。
それは日本国内の「チカラと活気」が海外に流出して行くことのように思えるから…