私が中学生の頃、ロールプレイングゲーム(以下、RPG)を文庫本で楽しむことが流行した。
それは1ページに1つの場面が描写されており、ページの終わりに幾つかの選択肢とそのページ番号が記載され、読者はその中から自分で進むべき道を選び、指示されたページを手繰って行くものであった。
そして、様々なページを行ったり来たりしながらエンディングへと向かって行く…
しかしながら、誰もがゴールに辿り着けるという訳ではなく、途中であえなくゲームオーバーのページに行き着いてしまったり、同じページを何度も巡ってしまう破目になるなど、まさにRPGさながらの物語が展開される。
当時はファミコン全盛期…
中でもRPGが一番の人気ソフトであった。
それらRPGブームに乗り、文庫本は発売されたのだ。
ファミコンは自宅から持ち歩くことが出来ないため、バスや電車などでゲームを進めることが出来なかった。
一方、RPGの文庫本は持ち運びが容易であるため、どこでも楽しむことが出来る上に、一見すると“本”であるため、正々堂々と学校に持って行くことが出来た。
それを使って休み時間に遊んでいたとしても、形としては“読書”である。
普段、読書とは無縁に思われる友人まで、休み時間になると文庫本を手にするという光景が、教室内に広がった。
ただ…
それも一つのブームだったのか、いつの間にか消えしまった…
最近、子供達の間ではニンテンドーSWITCHが真っ盛り。
それこそ、手軽に持ち運ぶことが出来て、どこででもゲームをすることが出来るという強みが、その背景にはあるのだろう。
私がファミコンで遊んでいた頃は、普通の家庭ではテレビは居間に1台あるだけで、それは家族みんなのものであった。
その為、他の家族がテレビを観たい時は、ファミコンを中止しなくてはならず、遊べる時間は必然と限られていたのだ。
その為、ゲーム以外にも一人で楽しめる娯楽が必要であった…
そのニーズが先のRPG文庫を産み出したり、週刊のマンガ雑誌(少年ジャンプ、サンデー、マガジン)が驚異的な売り上げを誇ったり、江戸川乱歩やルパン、ホームズといった推理小説が、子供向けにアレンジされて販売されるなどの社会環境を産み出していたのではなかろうか…
書籍とはいえ、どれも子供達にとっては限りなく遊びに近いものであった。
キャプテン翼など、現在のプロサッカー選手に影響したものもあれば、自分達で少年探偵団を作ったり、七つ道具を作ったりと、放課後の子供達の遊びに大きな影響を与えたこともあった。
つい、この間まで、子供達の活字離れや書籍離れを嘆く声や、各種調査結果が報道されていた。
ところが、ここへ来て、特にコミックにおいて、沢山のヒット作によって、入手困難な書籍も出てきたのは嬉しいことだ。
(オッサンの私も、沢山の作品にはまっています…)
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