春雨☆サラダ

50歳 2児の父‼️ 好きなものはハードロック、JAZZ、ゴルフ、カメラ、ラグビー、バーボン、芋焼酎、中村あゆみ、高崎晃、ランディローズ、前田日明、田村潔司… 愛読書は北方謙三… 一番大切なものは、晩酌と子供たちとの時間!

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何気ない一言が人を傷つけます…

 

 何気ない一言が、時に人を傷つけてしまう…

 

 特にそれが、人の健康に関することならば尚更だ。

 

 もう他界して8年となるが、肺の病気で入院している父を見舞った際に、看護師から耳を疑うような発言が聞かれた。

 

 入院してひと月近くなるが、担当医の方のおかげで快方へと向かい、退院へ向けた道筋が見えて来たところであった。

 

 その日も、病室にいた私と母は、担当医から回復している現状と、今後の治療方針の説明を受け、“あと一頑張り”と盛り上がった

 

 ところが、その後入って来た看護師が「○○さん、私もCTを見たけど、厳しい肺だね。」と、簡単に言うではないか。

 

 それを聞いた父の表情が一瞬にして曇るのが目に入った。

 

 その看護師が部屋から出て行くと、父は「何も知識がないから、ああいうことを言えるんだな。おれの病気を知っているのかな。」と、努めて平静に一言漏らした。

 

 しかし、その表情は先程までとは打って変わって暗く、掛ける言葉も見つからない私と母は、面会時間が終わることもあって、そのまま部屋を出た。

 

 余程、文句を言ってやろうかと思ったが、その看護師は“副師長”という肩書きを持っていたため、それによって、部下の看護師の父に対する応対態度が、変わってしまうことを危惧し、思いとどまった

 

 その夜、自宅に帰ってから、私は生まれて初めて“キチンとした”メールを父に送った

 

 男同士の親子…

 

 照れもあって、その様なことは今までしたことが無かったのだ。

 

 メールには思いつく限りの励ましの言葉を綴ったのだが、父からの返信はなかった…

 

 翌日、妻や会社の同僚にその話をしたが、驚愕する一方で、看護師の肩書きを考えると、誰も妙案を思いつかなかった

 

 相変わらず、父に掛ける言葉も見つからず、病院にも顔を出せなかった。

 

 

 その4日後…

 

 突然、叔父から電話が架かって来た。

 

 叔父は、母の妹の旦那様で、私達とは血縁関係にはない

 

 教育者であり、当時高校の校長を勤めていた。

 

 社会的には高い地位になってしまったが、私にとっては、小さい頃から“大好きなおじさん”だ。

 

 叔父が言うに、父のお見舞いに行った際に、事の始終を聞いたらしい。

 

 叔父はすぐさまナースステーションに苦情を申し立てに行ったらしいが、その看護師が不在であった為、連絡を貰いたい旨伝え、その間私に、再度状況の確認を行ったのだ。

 

 私はその時に起きたことをそのまま伝えたが、同時に父の今後に影響しないように配慮願いたい旨を伝えた。

 

 その翌日…

 

 久しぶりに父を見舞うと、先の看護師が上司とともに謝罪に来たと聞かされた。

 

 その場に母も居合わせており、母は思いが溢れて色々と苦言を呈したようだが、父は一言「謝られても何も変わらない。謝って済むことばかりではないでしょう」と伝えただけだそうだ…

 

 ただ、この一件により全ての看護師の態度が良くなったことは事実だ。

 

 何よりも、皆が前向きな言葉や励ましの言葉を掛けてくれる

 

 私は父に「素晴らしい親戚の叔父さんがいて良かったね」と伝えると、父は「アイツは親戚じゃあない… おれの弟だよ。」と、目に涙を浮かべて答えたのだ。

 

 父の涙を見たのは生まれて初めてのことなので、驚くのと同時にこちらも思わず貰い泣きしてしまった。

 

 こんなことを言うと叱られるが、父の両親が他界した時にすら、涙を見せなかったのだ。

 

 何気ない一言が、父をそこまで追い込んでいたのだ。

 

 その後は沢山の“前向きな一言”に加え、仕事で中々見舞いに来れない私の弟が、北海道で買った御守りを病室に届けたり、結婚7年目の妹に子供が出来たりと、幸せな出来事が次々に訪れ、それに従って父の病状も急速に良くなり無事に退院することが出来た。

 

 何気ない一言で、人は傷つくこともあれば、とても高揚することもある…

 

 そして、一度発した言葉は、後に取り消しても、それを受けた人の気持ちまでは取り消せない…

 

 私自身も日頃の言動に注意すべく、戒めとして受け止めた出来事であった。

 

 長文にてすみません。

 本日もお読みいただきありがとうございます。