タブレットやスマートフォンの普及により、電子書籍が急速に普及して来た。
その機能は大変素晴らしい!
タブレット一つに、多くの書籍を収納出来るため、先ずは、本棚などの保管スペースが不要となる。
旅行や外出時にも便利だ。
長時間の移動では、何冊かの本を旅の友として持って行くのだが、荷物が重くなってしまうため、そんなに沢山の本を持っていくことは出来ない。
それ故に、どうしても文庫本の類いが多くなったり、途中で捨てても良いような価格の安い雑誌類が多くなってしまう。
旅行に行く前に、書店へ行って「旅の友」となる書籍を選ぶ楽しさはあるものの、実際に旅行に出掛けてみると、電車やバスなどの車内の雰囲気、周りの景色との関係、はたまた天気や同行者などによって、読む気が失せてしまう本も出てくる…
そうなってしまうと、その本は唯の“不要な荷物”になってしまう。
電子書籍ならば、その様なことはなく、とにかく多くの本を持ち歩けるし、ネット環境が整った場所に立ち寄れば、旅の途中でも新たな書籍を購入することも出来る。
途中で、幾ら書籍を追加しても、荷物は増えないし、重くもならない!!
散々、電子書籍の素晴らしさを述べて来たが、私は一つの寂しさも感じている。
以前もブログで紹介したが、私の一番のお気に入りは北方謙三氏の「ブラディ・ドール」シリーズ10巻と、「挑戦」シリーズ5巻である。
学生時代から何度も何度も読み返し、未だに愛読している。
表紙カバーはボロボロとなり、セロハンテープで繋ぎ合せてある。
本の側面も手垢だらけで、ページを捲る頻度が高い中央部分は色黒くなっている。
中身もひどい状態だ。
糊付けが取れてしまい、本に挟んであるだけのページもあるし、原因が良く分からない染みや汚れが散在している…
これでは、いくらお気に入りの本であっても、他人に勧める為に貸すことなど恥ずかしくて出来ない…
ただ、この手垢や汚れは、自分がどれだけこの本に魅せられて、繰り返し読んできたことの歴史であり、思い出であり、誇りでもある。
ハード版に買い替えたり、文庫本にて買い直すつもりもない。
これからも繰り返し愛読し、更にボロボロになって行くのだろう…
その状態で大切に本棚に並べ、自分が思い出に浸るのも良いものだ。
電子書籍では味わえないことだろう…
今では辞書についても、電子辞書が主流であると聞く。
私が受験勉強をしていた頃には、国語辞典や英和辞典を使い込み、段々と汚れてボロボロになって行くことが、志望校へと導いてくれるかのような錯覚を覚えたものだ。
紙の文化が減って行く中で、その様な感覚を懐かしく思う、今日この頃である。
(おしまい)
本日もお読みいただきありがとうございます。