はてなインターネット文学賞「記憶に残っている、あの日」
「記憶に残っている、あの日」ということで…
選択肢のない自動販売機
私が小学校低学年の頃、自動販売機で売られている飲み物といえば、コーヒー、コーラやスプライトなどの炭酸飲料、そしてオレンジジュースなどの類いしかありませんでした。
数少ない選択肢の中で、炭酸がまだ苦手な子供が選ぶものといったら、オレンジジュースぐらいしかなく、飲んだところで、口に残るねっとりとした甘さで、乾いた喉を潤す役目を果たすことは出来ませんでした。
当時、“お金を出して水を買う”という感覚は無かったため、今のように水が販売されていることはありません。
結局、オレンジジュースを飲んでも納まらない渇きを満たすため、その後に水道を見付けては水を飲んでいました。
そんなこともあり、親から「自動販売機で何か買ってあげるよ」と言われても、そんなにワクワク胸躍ることはありませんでした。
スポーツドリンクの登場!
そんな時代に、突如としてスポーツドリンクは現れたのです!
その登場は、私達にとても大きな衝撃でした。
何といっても、今まで一番望んでいた「喉の渇きを満たすこと」を、最も優先してくれる飲み物だったからです。
適度な甘さがありながら、飲んだ後に水を飲むことを必要としないサッパリとした後味…
それは今まで体験したことのない飲み物でした。
それからは、自動販売機で飲み物を買うことがとても楽しみになり、親にも良くねだるようになったのです。
缶飲料の進化
その後も、缶飲料は進化を続けて行きます…
家でしか飲めないと思っていた、憧れのカルピスを、外でいとも簡単に飲むことが出来るようになりました!
カルピスといえば水との配分が難しく、カルピスの原液が微妙に足りなくて水っぽい感じがしたり、逆に水が足りないと甘すぎてしまい、中々一発で「これだ!」という調合にならず、手間のかかる飲み物でした。
友人の家に遊びにいっても、その家その家で味(濃さ)が微妙に違います。
それが、カルピスウォーターを飲んだ瞬間、これ程までに水とカルピスの絶妙な配分を、どの様にして考えたのかと驚いたものです。
昔は自動販売機といっても、2段程度しか商品が無かったものが、今では3段、4段が当たり前の品揃えとなり、また色々なメーカーが隣接して設置されており、選択肢は大きく広がっています。
そしてついに、一昔前では考えられなかった「水をお金を出して買う」ことも、当たり前の時代となりました。
喉が渇くと、公園の 水飲み場や、水道の蛇口を上に向けて飲んでいた頃が懐かしく思い出されます。
(おしまい)
本日もお読みいただきありがとうございます。