今週のお題「大人になったなと感じるとき」
小学生の頃、大人になることに憧れた理由の一つに「長ズボンとストーブ」があった。
私の住む街は、日本では温暖な地域と言われており、学校には暖房設備が一切なかった。
また、長ズボンの着用も、体調が悪いなどの理由が無くては許されなかった為、長ズボンを穿いて登校することは風邪をひいている象徴でもあった。
しかし、いくら温暖な地域といっても寒い時は寒い。
平均気温では他よりも暖かいかも知れないが、朝晩の冷え込み(最低気温)を見ると、他と大差無い日もある。
陽当りの良くない北側校舎などは冷え冷えしており、天気予報がいう最高気温まで上がることはない。
更に細かいことを言うと、教室内であっても、窓側の席と廊下側の席とでの寒暖差は非常に大きい。
席はくじ引きなどで決まるのだが、とにかく冬場は窓側の人気が高い。
また、せっかく人の体温で暖かくなった教室も、休み時間の度に窓が開け放たれ、空気を入れ替えてしまうため、次の授業は、再び冷え冷えとした状態でスタートする。
その様な毎日だったので、職員室には設置されている石油ストーブが各教室にあったらどんなに素晴らしいことだろうかとか、父親を始め大人の人達が皆、長ズボンで通勤(いわゆるスーツ姿…)する姿に憧れた。
とにかく大人になれば「あの暖かな生活」を手に入れることが出来るのだと信じていた。
その願いは少しずつ叶って行き、中学に入って制服となったことで「長ズボン」を手に入れ、大学に入って、やっと「暖房のある教室」に辿り着いた…
そして、憧れていた大人になった…
すると不思議なことに、子供の頃には半ズボンで耐えられていた寒さが何倍にも寒く感じるようになってしまった…
地球温暖化の影響で平均気温は上がっているとは聞くが、昔よりも寒くなっているとは耳にしたことが無い…
大人になった私は、暖房が効いているオフィス内であっても、スーツのズボンの下にはスパッツを履き、ワイシャツの上にはカーディガンを羽織っている。
更に通勤時にはマフラー、手袋、ジャンパー、カイロなどを総動員…
確かに寒さを凌ぐ手段については、やりたい放題となったが、何のことはない…
大人になれば寒さに弱くなり、沢山の防寒具を必要とし、それでも寒い寒いと震える辛い毎日が待っていた…