小学生の頃、高学年になってから習うローマ字がとても楽しみだった。
その理由は単純で、ノートなどにローマ字で自分の名前を書けるようになれば「カッコ良い」と思っていたのだ。
しかしながら、実際に高学年になりローマ字を習うと、身の回りの品々にそれで名前を書く事が何だか恥ずかしく、結局のところ日常生活においてローマ字を使う機会はほとんど無かった。
そして中学に入り英語の授業が始まる…
今時の子供達とは異なり、英語は中学になって初めて学ぶものであった。
英語に対して全く無知な私は、ここで大きな勘違いをすることになる。
英語とはローマ字とほぼ同じモノであって、英語の発音さえ覚えてしまえば、その表記はローマ字を使えば良かろうと考えていたのだ。
今思うと自分がとても稚拙に思えるのだが、当時は真剣にそう思っていたのだ。
それゆえ、英語なんて簡単にマスター出来るものと高を括っていた。
そして授業が始まって、直ぐに何かが違うことに気付いた…
始めに教わるのはHelloという挨拶文だった。
なぜ“ハロー”と発音しているのにHarouと表記されないのか疑問に思ったが、その後に登場する“タロウ(太郎)”は“Taro”となっていたので少し安心する。
This is a pen…
とりあえず“ペン”はローマ字であるため、名詞やモノの名前についてはローマ字なのだろうと自分に言い聞かせ心を落ち着かせた。
そんな努力も虚しく、2回目の授業で、名詞さえもローマ字とは表記が異なることを認めざるを得なくなった。
そして、私は自分の勘違いに気付く…
ローマ字と英語とは全く違うのだ!
同時に「小学生の時に習ったローマ字とは、いったい何だったのだろうか…」「ローマ字は何時使うのだろうか…」と、ローマ字に失望することとなった…
そしてやっと、周りの友人達が「単語カード」やら「単語帳」などを使って、必死に“スペル”を覚えている理由も分かった。
以後ローマ字を使用するのは、英語の試験で発音だけは分かるものの、スペルがどうしても思い出せない場合に、一か八かで記載した時くらいだ。
しかしながら…
それで正解となったためしはない。
私は英語を学ぶ入口で、その様なアレルゲンを持ってしまったために、英語が嫌いになってしまった。
そして就職し、英語を必要としない職業についてホッとしていた。
それから実に20年…
やっとローマ字を活用する機会が到来することとなった。
それは、パソコンの普及により、日本語入力としローマ字入力が登場したからである。
私の子供がちょうど今、ローマ字を習っている。
と、同時に英語も習っている…
私に似てかどうか、英語が苦手なようで…
そして「ローマ字って覚えて何になるの?」と生意気に聞いてくることさえある。
そんな時、私は自信を持ってこう言っている…
「パソコンを使えるようになるためにだよ」って…
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