春雨☆サラダ

50歳 2児の父‼️ 好きなものはハードロック、JAZZ、ゴルフ、カメラ、ラグビー、バーボン、芋焼酎、中村あゆみ、高崎晃、ランディローズ、前田日明、田村潔司… 愛読書は北方謙三… 一番大切なものは、晩酌と子供たちとの時間!

PVアクセスランキング にほんブログ村 google.com, pub-9716449924545490, DIRECT, f08c47fec0942fa0

バスの運賃箱から賽銭箱へ

f:id:isaoitsuyo:20211031100339p:plain


たわいもない話ですみません…

自慢ではないが、私は財布に少額のお金しか入れていない。

 

 大抵3千円程度…

 

 財布の中が500円を下回ったところで、やっとATMにてお金を引き出す。

 

 その場合も3千円…

 

 飲み会がある日などは、当日になってやっと、その晩に使うであろう金額だけを引き出すようにしている。

 

 普段の所持金で言えば、中学生や高校生の方がよっぽど多いに違いない。

 

 私がお金を多く持ち歩かないのは、財布にお金が入っていると、なぜかあっと言う間に無くなってしまうから…

 

 多分、気持ちが大きくなって、あればあるだけ使ってしまうからだろう。

 

 また、大きな買い物や車のガソリンなどはクレジットカードで支払うため、日常生活において現金をそれ程持ち歩かなくても特に問題はない。

 

その様な中で事件は起こった…

 

 その日私は、久しぶりの雨天にて、会社までバスで行くことになった。

 (普段は自転車通勤が主です)

 

 当日の持ち合わせは、会社までのバスの運賃である180円。

 (正確には、その他に五円玉、1円玉の類いが何枚か財布には入っていた…)

 

 といっても、私にとっては良くあることで、昼休みにでも、近くのATMでお金を引き出せば問題ないと考えていた。

 

そして会社までのバスの中…

 

 雨のせいで、車内はいつも以上に混み合っていた。

 

 目的地近くになって、私はバスの整理券とともに180円を握りしめて席を立った。

 

 ところが、その手から百円玉が落ちて、バスの車内後方に転がって行ってしまったのである。

 

 百円玉を追いかけようにも、車内は混み合っていて身動きが取れない。

 

 そうしている内に、バスは目的の停留所に到着してしまい、私はバスを降りる人の流れに押されて、前方にある運賃箱に向かった。

 

 前方の人達はICカード、定期券、現金などで手早く乗車賃を支払い降りて行く。

 

 直ぐに私の番は回って来てしまい、仕方なく運転手さんに「今、百円玉を落としてしまい…実は所持金がこれだけしか無くて…」と、言葉に詰まりながら正直に話した。

 

 後方の人達の冷たい視線が、振り向いてもいないのに感じられる。

 

 大の大人が180円しか持っていないなど、ましてやそれを落としてしまってバスの運賃が払えないなど、中々信じて貰える訳がない。

 

 それ位の金額ならば、小学生でも持っている…

 

 ところがその運転手は、にっこりと笑い「次にご乗車された時、支払って頂ければ結構ですよ」と言ってくれたのである。

 

 その笑みは、180円しか持っていないと話す私を、呆れたり馬鹿にしたりするものでは無く、気の毒に思う親切心から来るものに感じられた。

 

 私は「申し訳ございません」と頭を下げてバスのステップを駆け降りた。

 

 バスを降りると、あまりの恥ずかしさに顔を伏せ、逃げるように足早に歩き出したものの、私を信じてくれた運転手の方にいつか必ず応えようと、強く誓った。

 

数日後、私はまたバスに乗車することとなった。

 

 私は先日の運転手のご厚意に応えるべく、180円の乗車賃であったが280円を運賃箱に入れるつもりでいた。

 

 ところが思わぬ事態が発生する。

 

 何人か前の人が乗車代金を余分に投入したらしく、運賃箱でエラーが発生してしまい、その解消に運転手が苦慮している様子を目にした。

 

 今日の運転手は先日の方とは違う人でもあり、また安易に乗車賃以上の金額を運賃箱に投入してしまったならば、運賃箱がエラーとなるため、かえって迷惑を掛けてしまうのではなかろうか…

 

 結局私は通常の運賃を支払い、バスを降りた。

 

 そして先日支払えなかった100円については…

 

 財布にしまうのも何なので、近くの神社のお賽銭箱に入れ、バスの安全運行をお願いした。

 

(おしまい)

 

本日もお読みいただきありがとうございました。